機能的電気刺激 / Functional Electrical Stimulation
機能的電気刺激 / Functional Electrical Stimulation
2003年以降、メディケアは、下半身麻痺者が歩くことを可能にする機能的電気刺激(FES)装置、パラステップ・システムに対する支払いを行っています。また、米国政府は、この器具を安全で効果的に使用するために必要な、物理療法のトレーニングセッションに対するカバーも行っています。
パラステップ・システムとは、コンピューターを用いた「神経プロテーゼ」システムです。使用者は、キーパッド(ベルト上に着用したマイクロプロセッサーと接続されている)が取り付けられた前輪付き歩行器につかまって、歩きます。表面電極は、大腿四頭筋、臀筋、腓骨神経に配置されます。使用者は、正しい順序で筋肉へ神経刺激を伝えることによって、歩行を開始します。大腿四頭筋への刺激により筋収縮が起こり、その結果膝が伸びることによって、使用者は立つことが可能になります。脚の神経への刺激により、臀部、膝、くるぶしの収縮が起こり、これによって脚が床から持ち上がります。その後に膝が伸展するように大腿四頭筋が刺激され、足が一歩前に出ます。
パラステップ・システムは過去20年以上も使用されており、1994年にFDAの認可が得られています。この間、製造メーカーのシグメディックス社は、たった550台しか販売していません。この器具の購入には大変な出費が伴います。個人保険によってパラステップ・システムがカバーされることもありますが、ほぼ3年前にメディケアが下した決定は、政府がFTS機器に関して初めて認可した払戻し補償です。しかし、メディケアによるパラステップ・システムのカバーには条件があります。脚の筋肉と末梢神経に損傷がなく、体重を支えるだけの関節安定性がある下肢麻痺でなければ、補償は受けられません。さらに重要なもう一つの条件は、使用者のやる気です。パラステップ・システムによって「歩く」には練習を要するのです。
メディケアがパラステップ・システムをカバーするという決定は、麻痺コミュニティに歓迎されています。「私たちは、身体機能を最大限に活用し、麻痺に関連した二次障害を予防するため、どんな努力に対してもすべてサポートします。」と、全米脊髄損傷学会会長であるマーシー・ロスは述べています。「パラステップ・システムは一握りの脊髄損傷患者にしか役立っていないかも知れませんが、パラステップ・システムをカバーするというメディケアの決断は喜ばしいニュースです。これが、社会生活への適応を補助する器具や製品すべてに保険が適用される道を切り開く、第一歩になることを望んでいます。障害者の健康や生活の質を最大限に向上させるための投資は、その個人にとってすばらしいだけではなく、健全な社会政策でもあると言えるでしょう。」
一方で、FESエルゴメトリー「自転車」のメーカーは、保険でカバーされることに、依然として期待を寄せています。多くの医療文献がその有益性を表明し、使用者となりうる人が大勢いると予想されていることに後押しされ、FES自転車のメーカーは、メディケア補償の対象となることを目指して、現在陳情運動を展開しています。今のところ、FES自転車は運動器具と考えられているために、メディケアではカバーされていません。パラステップ・システムは、患者が立ったり歩く際に「医学的に必要な機器」であることを納得させることができたので、メディケア適用を認められたのです。
シグメディックス社と経営的な関連のあるセラピューティック・アライアンシズ社のCEOを務めるジェームズ・ショーリーは、レジーズがメディケア適用を受けられない理由は一つとしてないと述べています。「当社では、パラステップ・システムがメディケア適用を受けたのと同じ手段を採用して認定を受けることを考えています。」
それ以外のFES製品である、「フリーハンド」と呼ばれる四肢麻痺患者が手を握るためのシステムと「ヴォーケア」と呼ばれるFES膀胱制御システムは、両方ともFDAの認可を受け、米国内で積極的に販売を展開していました。両者とも技術的には成功した製品でしたが、どちらもメディケアの適用が認可されず、メーカー(ニューロケア社)は2001年に、これらの販売を停止しています。
パラステップ・システムは、指定の病院およびリハビリセンターで入手可能です。その所在地リストをご希望の方はシグメディックス社までご連絡ください(電話:937-439-9131、または、http://www.sigmedics.com)。
FESエルゴメトリーについての詳細は、下記URLをご覧ください。 http://www.musclepower.com